禊の聖地「御池」と、時の流れに隠された秘密を探る!(前編)【寄稿】


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 1509888_573987156004889_1894024671_n寄稿者:児玉健作
宮崎好き、神話好きの着物屋。高校を出て4年半、奈良県で過ごして帰省。バス会社の事務員から家業を継ぐ。
学生時代は考古学を専攻。今でも人生を豊かにすること、仕事に深みを持たせることとして、それを活かしております。
宮崎市街地その他で、着物でブラブラしている男を見かけたら、声をかけてください。

お正月といえば初詣。

もう出かけられたでしょうか?

宮崎県は、神話の舞台とされる場所や、連綿と語り継がれてきた伝承が多く、日本最古の歴史書『古事記』のなかでも、たびたび日向国での出来事としてふれられています。

今回は、神話にちなんだ地元のお話をひとつ。

『古事記』のはじめの方に出てくるエピソードに、

「黄泉の国から帰ったイザナギノミコトの禊(みそぎ)と、神々の誕生」

が書かれています。

禊といえば、6月と12月の末に「大祓(おおはらえ)」という行事があり罪穢れ(つみけがれ)を祓うものが代表的です。

そのほか、滝、河、海岸など、様々な水の流れあるところが、ミソギの舞台となっています。

シーガイアの近くにある「御池(みそぎが池)」の存在って?

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神話のなかで禊をされたイザナギノミコトと、妻神イザナミノミコトをおまつりする江田神社がありますが、神話ファンがちょっと気になるのが、現代ではパワースポットとして人気の「御池」の存在です。

古事記に、

到坐竺紫日向之橘小門之阿波岐原而。禊祓也。
(筑紫の日向の橘の小戸の阿波岐原で禊祓いをします)

という下りがあり、これは神社でお祓いのとき「ちくしのひむかのたちばなの・・・」とはじまる祓詞(はらえことば)にも出てくる、禊をされた場所について。

そのあとに、禊をするにふさわしい条件として、

於是詔之。上瀬者瀬速。下瀬者瀬弱而。初於中瀬・・・
(おっしゃることには、上瀬は流れが速く、下瀬は弱々しいため、ちょうどよい瀬にて) 

という記述があります。

水に入って禊をされたイザナギノミコトが、その折に脱ぎ捨てた衣服や装飾品から、また流れの中で浮き沈みして、洗い清めて黄泉の国のケガレを祓った時、数々の神様が生まれています。

さて、ここである問題に行き当たるんです。

禊の伝承がある場所は、御池・・・

別名を、みそぎが池・・・

池・・・

「あれ?古事記のどこにも「池」なんて、書いてない!!」

そもそも池には、流れがありません。

え、どういうこと!?

言い伝えは、間違っていたの?

ここに日向神話のミステリーと、宮崎のヒストリーにまつわるお話があるのです。

そのためには、まず宮崎平野の時代を、ぐっとっぐっと、さかのぼってみなければなりません。

今よりはるか昔、縄文時代と呼ばれていたころ、現在よりも海面はずっと高く、生目の杜運動公園の近くには跡江貝塚があり、かつての海岸線を今に伝えています。

すなわち、宮崎平野の多くは、かつての海の底。

「縄文海進」と呼ばれる海面上昇と、弥生時代から古墳時代の初めまで続いたという「弥生海退」の言葉があります。

現代の地図と古代の地図は、まったく別のものだったのです。

それと「禊」神話の関係性に、思いを致すようになったのは、高校までを過ごした宮崎市住吉での生活と、県外からの眼でふるさとを観る機会を得てからでした。

さあ、禊の聖地「御池」と、時の流れに隠された秘密。

あくまで科学に基づきながら、愛してやまない宮崎が、宮崎たる所以に迫ります。

個人の掲げる一説ではありますが、お正月の楽しみとして、どうぞお読みください。

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次回、一挙謎解き。

日向神話と出雲神話の共通点、超時空地元ネタ。

真面目にやります!つづく

→ 後編はこちらから!

テゲツー!会長 長友まさ美からのメッセージ

なんとー!ぜんぜん知らないことばかりでした。

神話のこと、もう少し知りたいなぁ。

健作さん、新しい視点からの宮崎をありがとうございます!

つづき、楽しみにお待ちしています♪

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この記事を書いた人

テゲツー!会長 。たくさんの人に、宮崎てげてげ通信の魅力を伝えるのが主な役割。人、旅、美味しいもの、楽しいことが大好き。宮崎の太陽。対話の場作りをとおして、未来への一歩を後押しする。

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