創業天保二年!無濾過にこだわる宮崎最古の焼酎蔵-本格焼酎ドット恋Vol.8:姫泉酒造編


御幣前掛け

このところ毎月恒例となっております本格焼酎ドット恋例会のレポートですが、通算8回目、2016年最初の例会は、1月13日(水)に「まごころダイニングやまぢ」姫泉酒造合資会社の姫野建夫社長をお招きして開催されました。

姫野建夫社長

日之影町にある姫泉酒造合資会社の創業は、今から185年前の天保二(1831)年。宮崎県内に現存する焼酎蔵では、最古の歴史を誇ります。
祖先は大分から金を探して日之影に入り、そこで上質の湧き水をみつけて酒造りを始めたそうです。
創業当時は清酒を造る蔵だったそうですが、昭和43(1968)年頃から焼酎製造に移行し、現在に至ります。
焼酎の製造に使われている蔵は、創業当時からのものということで、蔵に付いた麹や酵母菌が、姫泉酒造ならではの焼酎の味や香りを醸し出しているのですね。

姫野建夫社長は、この蔵の七代目当主。
大学卒業後、鹿児島県の工業試験場で焼酎造りについて2年間学んだ後に会社に戻り、伝統と技術を受け継ぎつつ、新しい焼酎造りに取り組んでいます。
また現在は、自社の焼酎の営業の傍ら、日本酒造組合中央会の一員として、本格焼酎と泡盛の売り込みのために全国を飛び回っておられます。

 

白く濁らせるのは難しいんです。「白く」

白く

自己紹介を兼ねたご挨拶が終わった後、最初にいただいたのは、この冬季限定商品の「白く」
コガネセンガンと米、黒麹で仕込まれた、さっぱりした中にも旨味の強い芋焼酎(25度)で、写真ではよくわかりませんが、透明なビンの中の焼酎は、うっすらと白く濁っています。
ロックにすると、更に冷やされて、溶けきれない油分がゆらゆらと漂っているのがよくわかります。
これを瓶で長期保存していると、上の空気に触れる部分から透明になってくるというから面白ではありませんか。
姫泉酒造さんは「無濾過」が特徴ですが、濾過しないから濁るのではなく、こうして白く濁らせるのは実は難しいのだそうです。その秘密についての質問は、姫野社長ににっこり笑ってかわされてしまいました。

 

もう今年で最後!?栗麹の芋焼酎

芋栗

続いていただいた「芋栗」は、同社が日本で初めて作り上げた栗麹100%の芋焼酎で、コガネセンガンと日之影産の栗で作られています。
一つ一つ手作業で皮を剥いた大きな栗を水につけてアクを抜き、蒸し上げてから手作業で割り、麹菌をつけて栗麹を作る工程にかなりの手間がかかるため、今年で製造が終わるかもとおっしゃっていました。
独特の甘みを持つ焼酎で、密かなファンも多いようですが、見つけたら今のうちに買っておいた方が良いかも。

 

七代目は麦チョコの香り!

七代目姫野

三杯目にいただいた「七代目姫野」は、米麹で仕込まれた麦焼酎。
姫野社長の名を冠したこの焼酎は、社長が麦チョコの香りのする焼酎を造りたいとの思いで、技術陣と開発に携わったこだわりの焼酎です。
姫野社長によれば、麦焼酎の仕込みに麦麹を使えばさらったした感じに仕上がり、米麹を使うとより味わいが深くなるのだそうです。
確かに、麦の香ばしさとともに甘い香りが広がり、甘みとコクがまろやかにほどけてフィニッシュを迎えます。

地頭鶏炭火焼

飲んでばかりでは早々に酔いが回ってしまうので、合間合間にしっかり食べてます。
焼酎と合わせるなら、やはり看板メニューの「みやざき地頭鶏の炭火焼」
今日も美味し!

 

代表銘柄の「御幣」

御幣原酒

4杯目は、「無濾過御幣 原酒」
姫泉酒造を代表する銘柄が「無濾過御幣」で、これは陶器入りの原酒で38度。

御幣

5杯目は、上記の原酒を20度に調製した「無濾過御幣」
8年ほど前、東京で初めてこれを飲んだ時の衝撃を今でも覚えています。
こんなに美味い焼酎があったのか、自分がいかに宮崎の焼酎のことを知らなかったのか思い知らされ、宮崎の焼酎の魅力を学び伝えるようになる原点となりました。
この焼酎と出会わなかったら、こうしてこの場にいないかもしれないと思うくらい、個人的には思い入れの強い焼酎です。

姫野社長2

姫野社長とは、試飲会やイベントの場でお会いすることが多いのですが、
「なるべく販売の現場に出て、お客さんの声から製品づくりを考えるようにしている。」
とおっしゃいます。
「最近はきれいな焼酎が増えたが、同じ麦焼酎でも、他と同じような焼酎ではなくて、違うものを造ることを心がけている。」
ともおっしゃっていました。
そういう想いが、例えば「七代目姫野」という自らの名を冠した焼酎に結実しているのでしょう。
180年を越える伝統と設備を守りつつ、常に新しいものづくりにチャレンジされている姫野社長のお話、なかなか深いものがありました。

 

ロックが美味い、もち米原酒の「神話街道」

宮崎の神話街道

6杯目は、「宮崎の神話街道」
日之影産のもち米だけを使って造られたもち米焼酎の原酒を、樫樽で長期貯蔵したものです。
樽貯蔵特有の芳醇な香りに、甘みが強くコクのある味わいを持つ焼酎で、40度あるので、ロックでいただくのがいいでしょう。

サーモンのカルパッチョ

これに合わせるのが、「サーモンのカルパッチョ」
樽貯蔵で洋酒っぽい雰囲気もあるので、こういう料理との相性も良し!

 

香り高き「そば黒」はお湯割りで

そば黒御幣

7杯目の「そば黒御幣」は、姫野社長が「お湯割りが最高!」とおっしゃったので、お薦めのままにお湯割りでいただきました。
黒麹で仕込まれた、蕎麦の香り高い焼酎で、確かにこの香りはお湯割りや蕎麦湯割りが合いますね。

 

次回は2月10日

デザート

最後、ベリーのたっぷり載ったショートケーキで締めて、1月の例会も終了。
貴重なお話をたくさん聞かせていただいた姫野社長、ありがとうございました。
美味しい焼酎と美味しい料理で、今回も大満足でした。

次回は、2月10日(水) 18時30分から、小林市にあるすき酒造の兒玉社長と内嶋杜氏のお二人をお招きして開催の予定とのこと。

お申込は、こちらから。
限定20席なので、お早めに!

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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