焼酎一筋に革新を続ける黒木本店の芋焼酎を満喫 - 本格焼酎ドット恋Vol.18


黒木本店の芋焼酎5種

テゲツー!焼酎担当のDiceです。
毎月第2水曜日に開催の「本格焼酎ドット恋」例会、6月の柳田酒造編以来、都合が合わずにしばらくご無沙汰していましたが、ようやく日程調整できたので、11月9日の第18回例会に参加してきました。

今回の例会は、高鍋町にある黒木本店角上愼一工場長と製造部の若きエース、黒柳喜直さんをお招きして、リニューアルオープンしたばかりの「居心地屋 やまぢ」で行われました。

 

角上愼一工場長のごあいさつ

角上愼一工場長

冒頭で、ゲストの角上愼一工場長よりご挨拶。

「当社は、明治18年の創業で、現在の黒木敏之社長で4代目になります。
今は、社長の長男、次男も会社に入って、新しい息吹をを吹き込もうとしてくれています。
ここ30年、ぶっ飛ばしてやってきましたが、これからも楽しみな蔵であり続けたいと考えています。」

角上さんは、4代目の黒木敏之社長と同級生同士という間柄で、社長の右腕として、製造部門を率いてここまでの発展を支えて来られました。
30年間の苦労を知り尽くす、工場長らしいご挨拶でした。

 

まずは、「㐂六」のソーダ割りで乾杯!

㐂六のソーダ割り

ごあいさつが終わったところで、角上工場長が、まずは甘みの立つ「㐂六(きろく)」のソーダ割りを飲んで欲しいということで、黒木本店オリジナルグラスに、ソーダ割りが用意されました。

自家農園と地元の契約農家で栽培されたコガネセンガンを、黒麹で仕込んだ25度。
「くろき」を反対から読んで「きろく」とするこの芋焼酎は、酵母も自社培養の独自酵母という、骨太の自信作。

確かにソーダ割りで甘みが引き立ち、軽快感も出るので、1杯目にはいいですね。

クレソンの白和え

これに合わせる料理は、「クレソンの白和え」

黒木本店は、自社農園を持っていて、農業生産法人「蘇る大地の会」が完全有機栽培で、焼酎製造の過程で出る廃棄物を堆肥化して利用するなどのサステイナブルでエコロジカルな取り組みを行っています。

このクレソンも、そこで土耕栽培で育てられたものを、焼酎とともに持ち込み、料理してもらったのだそうです。
少しほろ苦さのあるしっかりした味と独特の香りで、㐂六のソーダ割りと良く合っていました。

 

冬季限定「㐂六 無濾過」

㐂六 無濾過

続いていただくのは、冬季限定の「㐂六 無濾過」
11月上旬発売ということで、この日の時点ではまだ発売前というレアもの。

自社農園で栽培されたコガネセンガンを使用し、黒麹で仕込まれた25度。
角上工場長のお薦めの飲み方であるお湯割りでいただきましたが、甘みやフローラルな香りが強くなり、無濾過らしい荒々しさも感じます。

刺し身

このタイミングで出てきたのは、ブリのお刺身。
口の中の脂が、温かいお湯割で洗い流されて喉に落ちて行く感じ、旨味の相乗効果がたまりません。

 

革新の「球」

球

続いては、敏之社長の次男、黒木信作専務が手がけた新作、「球」
ワインをイメージして14度に調製された焼酎なので、もちろんそのままストレートで。

「球」については、既にテゲツー!でもお伝えしているので、詳しい説明はそちらをご覧いただくとして、メインに使われているタマアカネの香りに、オーク樽貯蔵の原酒から来る香りも合わさって、バニラや紅茶、ジャスミンティのような複雑な香りのニュアンスを感じさせます。
焼酎になじみの無い方にも、抵抗なく受け入れられるものを、ということで開発された革新の1本。

小鉢3種

ここに登場した料理は、3種の小鉢。
左から、「寒天コンニャク、ガゴメ昆布、茎ワカメの和え物」、「みやざき地頭鶏のぽん酢ムース和え」、「ぎんぴ豆腐」。

寒天蒟蒻、ガゴメ昆布、茎ワカメの和え物

このうち「寒天コンニャク、ガゴメ昆布、茎ワカメの和え物」は、ぬるねば系のぽん酢味。
日本酒のようなテイストも持つ「球」は、このような純和風のつまみにももちろん合います。
こんなあてで、ちょっとぬるめに燗を付けた「球」をちびちびと飲むのもまた乙ですね。

 

伝統の「橘」

橘

4杯目は、昔から芋焼酎の代表銘柄として造り続けられている「橘」
なんでも、かつて醸造蔵のあった場所が「橘」と呼ばれていたことと、創業者が神職に携わっていたため、神木の「橘」に因んで名づけられたのだとか。

コガネセンガンの白麹仕込みで、これを水割りにしてみましたが、フローラルな香りと旨味、やや軽めの甘さで、昔ながらの芋焼酎らしい味わいでした。

みやざき地頭鶏のぽん酢ムース和え

これには、「みやざき地頭鶏のぽん酢ムース和え」
みやざき地頭鶏のたたきは、「やまぢ」定番の味ですが、ここにぽん酢のムースを合わせるところが斬新。
そして、このムースがまた美味い。

ぎんぴ豆腐

さらに、「ぎんぴ豆腐」
「ぎんぴ」って何かわからなかったのですが、今回の料理を監修された、「居心地屋 やまぢ」の大将・黒木浩一さんに伺ったところ、砂肝の外側にある白くてやや硬い部分とのこと。
砂肝を刺し身にしたりする際に取り除くのですが、それを醤油や味醂とともに煮込み、冷や奴の上に載せたもの。
コリコリした食感で、噛みしめるほどに旨味が出てきて、なかなか面白い素材でした。

 

尾鈴山の山中で醸される「山ねこ」

山ねこ

5杯目は、黒木本店の別蔵(別会社)として1998(平成10)年に木城町に創設された尾鈴山蒸留所「山ねこ」をロックで。

自然に囲まれた山の中の蒸留所で、箱麹、木桶仕込みという手間のかかる方法で、ジョイホワイトという芋を原料に白麹仕込みで丁寧に作られた芋焼酎。

木城町在住の木版画家・黒木郁朝さんのデザインによるラベルも可愛らしいですが、甘みの強いその味とよくマッチしています。

ピンクタルタルのチキン南蛮

そんな「山ねこ」に合わせるのは、ピンク色のタルタルソースのかかったチキン南蛮
これまたなんとも可愛らしい。

なんと、このピンク色は、タルタルの中に柴漬けを刻んで入れているからということで、元々は赤紫蘇の葉に由来しているんですね。
味はもちろん、見た目でも楽しませる料理、美味しくいただきました。

 

大将の料理が加わって、パワーアップ!

黒木浩一さんと黒柳喜直さん

これまで、「本格焼酎ドット恋」の例会は、女将の黒木素弓さんの主催で、旧「まごころダイニングやまぢ」を主体に開催されてきましたが、10月27日に「居心地屋 やまぢ」としてリニューアルオープンし、本店から大将の黒木浩一さん(写真右)が合流したので、出てくる料理も更にパワーアップしたような気がします。

リニューアルして初めてのイベントだったこともあって、大将もかなり気合いを入れて料理を仕込んだようです。
ごちそうさまでした。
この調子だと、今後の例会も楽しみですね。

次回の例会は、12月14日(水)に、日向市の(株)あくがれ蒸留所を招いて開催予定とのこと。
詳細については、宮崎本格焼酎ドット恋のFacebookページで案内されますので、Check it up!

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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