宮崎の冬の風物詩・大根やぐらの干し大根で寒漬けづくり体験


寒漬け(はりはり漬け)

フードアナリスト兼料理研究家のDiceです。

厳しい寒さに震えながら、家で焼酎のお湯割りをちびちびと飲んでいた時、Facebookのタイムラインに、
「宮崎の冬の風物詩だいこんやぐらを訪問して、寒漬け(はりはり漬け)を一緒に作りませんか?」
という情報が流れてきました。

はりはり漬けと言うと、干し大根のパリパリとした食感に、甘辛さの中にちょっとピリッと唐辛子の効いた味付け、細切りの昆布とするめの旨味が加わった、焼酎のあてにも最適な漬け物ではありませんか。

これは取材に行くしかないと、速攻で「いいね!」を押して、コメントを書き込みました。

 

茶畑に囲まれて、寒漬けを学ぶ

夢茶房入口

そしてその当日、向かった先は、新富町新田の新田原基地のすぐ横にある、「夢茶房 本店」

2年前の5月に、抹茶ソフトクリームを求めてやってきた茶処です。

茶畑の奥の大根やぐら

茶畑のすぐ奥に、大根を干すためのやぐらが見えます。
この日も寒波の影響で朝の気温が氷点下だったので、やぐらはブルーシートで覆われています。

イベント看板

夢茶房の建物の前までやって来ると、この日のイベントの手書き看板が掲げられていました。
この味のある看板、夢茶房安積一仁社長が自ら手書きされたものらしいです。

安積社長のあいさつ

定刻の10時になって、その安積社長のあいさつから、今回の講座がスタートしました。
絵も描くしバンド組んで音楽活動もやる、なかなかアグレッシブな社長さんであります。

木村昭彦さん

そして講師は、キムラ漬物宮崎工業株式会社木村昭彦社長。

以前、自家製ぬか漬けづくりの講座でもお世話になりました。
本業の傍ら、漬物を中心とする発酵食品をもっと世に広めるために、日々様々な活動をされています。

 

大根やぐらを見に行く

大根やぐら遠景

愛知から、良質の干し大根を求めて宮崎に生産拠点を移したというキムラ漬物の歴史や大根の品種などについて少し学んだ後、その天日干し大根が作られる大根やぐらを実際に見に行くことになりました。

外に出ると、快晴に恵まれて気温が上がってきたので、やぐらからは先ほどまで覆われていたブルーシートが外されています。

12月から始まった干し大根のシーズンも終盤に入っているので、懸けられている大根は、やぐらの半分ほどです。

やぐらの内側

やぐらの内側に入ると、こんな風景が広がっています。

大根と青空

見上げると、吊り下げられた大根の隙間から、雲一つない青空が覗きます。

松本信夫さん

木村さんの右に立つのが、このやぐらの持ち主で、大根の生産者である松本信夫さん。
この地で40年以上、干し大根を生産されている大ベテランです。

大根やぐらの下のストーブ

やぐらの下には、たくさんの灯油ストーブが並べられていました。

自然を相手に上質の干し大根を作り上げるには、気温や天候を読みながら、寒波が来ればシートをかけてストーブを焚いて大根が凍らないように気を使い、雨で温かくなりそうなら大根の間隔をあけて風通しを良くしたりと、並々ならぬ苦労があるとのこと。

やぐらの外側

大根をやぐらにかけたり下したりは、手作業の部分が多く重労働でもあるので、生産者も徐々に減ってきており、ここ新富でも、生産量を維持するのが課題のひとつにもなっています。

この美しい風景は、宮崎の冬の風物詩のひとつでもあるので、なんとか続いてほしいものです。

 

寒漬けづくりスタート

収穫された干し大根

夢茶房に戻って、松本さんから分けていただいた、収穫したばかりの干し大根を使って、寒漬け(はりはり漬け)作りがスタートしました。

大根は、天日で干されてゆっくりと水分が抜ける間にアミノ酸が増加し美味しくなり、特に脳や脊髄で抑制性の神経伝達物質として働く、GABAと呼ばれるγ-アミノ酪酸は大きく増加することがわかっており、宮崎県産の干し大根で作られたたくあんに血圧降下作用があることも確認されているそうです。

そう聞いたら、寒漬けづくりにも力が入ります。

水洗い

まずは、ほこりなどを落とすために、干し大根を軽く水洗いします。

スライス

水気を拭き取ったら、厚さ2~3mm程度にスライスします。
やや斜めにスライスすると、味も染み込みやすく、歯触りが良くなり、形も整うとのこと。

みんなで作業

参加者それぞれ、自前の包丁とまな板で黙々と刻んで行きます。
今回は量も多かったので、斜めスライスだけではなく、短冊切りにして食感を変えてみることにもチャレンジしていました。

刻み昆布と刻みするめ

刻み終わったらビニール袋に入れ、刻み昆布、刻みするめイカ、刻み唐辛子をお好みの量加えます。
ピリ辛が好きな方は、唐辛子多めで。

調味液を注ぐ

材料を全て袋に入れ終わったら、重量を量って、木村さんが事前に用意した調味液を注ぎ入れます。
家庭で作る場合は、干し大根500gに対して、しょうゆ150cc、酢100cc、みりん100cc、砂糖50gの分量だそうです。

完成!

袋の中の空気を追い出して、ひねった袋の口を輪ゴムで止めたらできあがり。
このまま冷蔵庫で保存して、翌日から早速食べられるようになります。日が経つにつれて、浸かり具合と食感が変わってくるので、その変化を楽しむのも一興です。

寒漬け(はりはり漬け)

これが、松本さんからいただいた干し大根を使って、私が同じレシピで作った寒漬けです。なかなか美味しそうでしょう?
思ったより簡単に作れて、ご飯のお供にも、焼酎のつまみにも最適。
これから、毎年冬の定番になりそうです。

 

お茶屋のお茶漬け

お茶漬け

講座の最後に、夢茶房安積三枝さんにご用意いただいた軽食を参加者全員でいただきました。

だしソムリエでもある三枝さんプロデュースによる軽食は、マヒマヒ(シイラ)のフレークを使ったお茶漬けと、大根のマリネ。
お茶漬けには熱いほうじ茶をかけていただき、大根のマリネには茶葉が使われているあたりが、お茶屋さんらしいところですね。
どちらもいいお味で、美味しくいただきました。

そうそう、夢茶房で行われる次回の講座は、このお茶漬けにも使われている、梅干しづくりが予定されているとのこと。
近づいたら、夢茶房のFacebookページで告知されると思いますので、check it up!

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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