霧島酒造が6年連続トップ! - 焼酎メーカー売上高ランキング2017


宮崎焼酎勢揃い

酒を飲むなら断然、蒸留酒派のDiceです。乾杯の後は、宮崎の焼酎をロックでいただくことが多いです。

さて、(株)帝国データバンク福岡支店が8月13日に「特別企画:焼酎メーカー売上高ランキング(2017年)」と題するレポートを発表しました。

同支店では、売上高に占める焼酎・泡盛の割合が5割以上となった酒類製造業者を『焼酎メーカー』と定義し、全国の焼酎メーカーの2017年(1月期~12月期)売上高をランキング形式により抽出し、上位50社の売上高や利益動向などについて集計しています。

その結果を見ると、宮崎県内の焼酎メーカーは、50社の中に5社がランクインしています。

 

1位は霧島酒造(都城市)

霧島酒造Webサイト

1位に輝いたのは、都城市に本社を置く霧島酒造株式会社

主力の「黒霧島」(クロキリ)に、リニューアルした「白霧島」(シロキリ)と宮崎限定の「霧島」(ホンキリ)、全量芋仕込みの「吉助」シリーズ、以前は季節・本数限定でしたが、通年でみかけるようになった「赤霧島」や「茜霧島」など芋焼酎を主体としたメーカーです。

売上高682億5,100万円(前年比4.9%増)は、2位の三和酒類(大分県)の464億8,200万円(前年比2.6%減)に大きく水を開ける快走ぶりで、これで6年連続の日本一となっています。

売上高は10年前の2007年と比べると2.28倍にもなっているそうで、レポートでも「まさに“ひとり勝ち”の状況」と評されています。

 

4位:雲海酒造(宮崎市)

雲海酒造Webサイト

売上高169億9,400万円(前年比3.5%増)で4位にランクインしているのは、五ヶ瀬町で創業し(現在の本社は宮崎市)、日本で最初にそばを原料とする焼酎を造った雲海酒造株式会社

そば焼酎の「雲海」や麦焼酎の「いいとも」、芋焼酎の「日向木挽」が代表的な銘柄ですが、なんと言っても最近の好調を支えているのは、日向灘黒潮酵母を使って醸される「木挽BLUE」。

すっきりとしてキレのある飲み口と、ブルーを基調としたラベルやパッケージの爽やかな印象で、瞬く間に県内外の飲食店を席巻しています。

 

16位:神楽酒造(高千穂町)

神楽酒造Webサイト

霧島、雲海という県内2大メーカーに続くのは、高千穂町岩戸に本社を置く神楽酒造株式会社で、売上高39億6,700万円(前年比8.0%減)で16位にランクイン。

創業初期は米焼酎が主体だったようですが、近年は、麦焼酎「ひむかのくろうま」やそば焼酎「天照」、芋焼酎「天孫降臨」などが主力銘柄になっています。

使われなくなった、長さ1km以上あるトンネルを活用した「トンネルの駅」で貯蔵されている焼酎樽は圧巻です。

 

23位:都城酒造(都城市)

都城酒造Webサイト

県内第4位、売上高24億8,600万円(前年比9.3%減)で全体の23位にランクインしたのは、都城市に本社を置く株式会社都城酒造

飲食店ではあまり馴染みがありませんが、量販店などで見かける紙パックの「あなたにひとめぼれ」や「みやこんじょ」といった銘柄が主力です。

「あなたにひとめぼれ」は、芋、麦、米、そば、ごまと原料ごとに5種類のバリエーションがあるのも珍しいですね。
他のメーカーとは一線を画し、紙パックやペットボトルといった容器を主体に「良いものをより安く」を理念に製造をしています。

 

44位:高千穂酒造(高千穂町)

高千穂酒造Webサイト

そして県内第5位、売上高11億1,500万円(前年比1.4%増)で全体の44位にランクインしたのが、高千穂町に本社を置く高千穂酒造株式会社

1902(明治35)年に創業という100年を超える歴史のある蔵で、麦焼酎の「高千穂」や「わかむぎ」、米焼酎の「露々」が主力です。

2013年11月に発売を開始した黒麹仕込みの麦焼酎「高千穂 零」は、黒を基調としたデザインで2014年のグッドデザイン賞を始め、数々の賞を受賞して、主力銘柄に育っています。

 

県別売上高でも宮崎がトップ

上位3県の売り上げ推移
画像出典:「特別企画:焼酎メーカー売上高ランキング(2017年)」(帝国データバンク)

上位50社のうち、本社所在地では鹿児島県が21社とダントツ(宮崎県は5社で2位)ですが、県別の売上高では、宮崎県の計が928億1,300万円(前年比3.5%増)で、鹿児島県の774億5,600万円(前年比3.5%減)を大きく上回ってトップに立っています。

これにはやはり、ナンバーワンの霧島酒造の貢献が大きいのですが、酒類業界全体としては人口減少や少子高齢化という構造的な問題に加えて、ライフスタイルの変化、若年層を中心とする嗜好の変化による飲酒機会の減少などからやや苦戦を強いられていて、焼酎メーカーの上位50社の売上高合計は10年前と比べて3.8%減少、前年と比べても1.1%減少しているとのこと。

さらに酒造法改正の影響などもあり、霧島酒造ですら2018年3月期売上高では20年ぶりの減収を発表しています。

また、レポートでは、「今夏の記録的な猛暑が酒類販売を落ち込ませる一因となることが予想され、特に焼酎業界はその影響を受ける公算が大きい」とも分析しています。

焼酎業界の置かれた環境は、決して良好ではありませんが、宮崎県内には上記5社以外に、売上高は決して大きくないものの、丁寧なものづくりで美味しい焼酎を安定して造り続け、地元に愛されてている中小の焼酎メーカーが多数あり、例えば夏焼酎づくりや海外マーケットの開拓など、互いに切磋琢磨しながら頑張っていますし、先日ご紹介した「角打ち しなと」などのように、県内の様々な焼酎を様々な呑み方で気軽に楽しめる飲食店も増えてきていますので、悲観するばかりでもないなと感じています。

さて、今夜はどこでどんな焼酎を飲もうかな。

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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