廃校のプールでサンゴを育て未来の海を守る-Green Fingers


Green Fingersの4人

大学時代はスキューバダイビングクラブに所属していて、長い休みのたびに南のサンゴの海で潜っていたDiceです。

飫肥に取材に行くことにしたら、日南市マーケティング専門官の田鹿倫基さんが、
「Diceさんに是非とも紹介したい若者達がいるんですよ。」
とおっしゃるので、二つ返事でそのお誘いに乗ることにしました。

旧潮小学校

田鹿さんに連れられてやってきたのは、国道220号線沿い、日南市富土にある「潮の杜(うしおのもり)」

2011年2月20日に120年の歴史に幕を下ろす閉校式が行われた、旧日南市立潮(うしお)小学校で、廃校になった後、2014年4月にコミュニティー交流や自然体験の拠点となる「潮の杜」として生まれ変わり、様々な活動が行われています。

 

Green Fingers

Green Fingersの4人

そこで待ち受けていたのは、この4人の若者達。
写真左から、中井雄平さん、岸大悟さん、稲葉通全(みちまさ)さん、徳重亮磨(りょうま)さん。
4人で、「Green Fingers」として活動しています。

岸代表(右)と稲葉副代表(左)

お話をうかがったのは、Green Fingers代表の岸大悟さん(写真右)と、副代表の稲葉通全さん(写真左)。

さん(25歳)は大阪の出身ですが、子どもの頃から生物に興味があり、その興味を生かせる場として沖縄の大学に進学。そこで、海と出会います。
大学在学中に、トビタテ!留学JAPANプロジェクトの第3期生として、フィジーでサメとウミガメの保護やサンゴの調査といった活動のインターンを経験。
フィジーの2年間で、サンゴに魅了されますが、帰国前にサンゴ礁の異変に気付き、沖縄に戻ってその異変がフィジーだけのものではなく、沖縄でもサンゴが死滅して行く現状があることを知ります。

そこで、サンゴを養殖して海に帰すことにビジネスとして取り組み、海の環境を保護しようと決意した岸さんは、『てぃだかんかん〜海とサンゴと小さな奇跡〜』という映画のモデルになった、養殖サンゴの移植放流の先駆者・金城浩二さん率いる(有)海の種で、養殖のノウハウを学びます。

そして6ヶ月のインターンの後、「Green Fingers」というチームを結成し、自らサンゴを養殖するプロジェクトに取り組み始めました。

インタビュー中の2人と広報で見守る中井さん

副代表の稲葉さん(23歳)は、社会で生きづらさを抱えている人たちのための場所づくりをしたいと考えていた中で、社会起業家育成のプログラムの同期生として岸さんと出会い、その理念に共感して、岸さんと同じ道を歩むことにしたのだそうです。

さらに、広報・マーケティングを担当する中井さん(23歳)と、Webサイトの構築やモニタリング用のカメラの設置などを担当するエンジニアの徳重さん(23)歳が加わって、「Green Fingers」は4人となりました。

 

なぜ日南なの?

潮の杜

そんな彼らが、日南市の「潮の杜」でサンゴの養殖を始めようとしている理由はいくつかあるようですが、ひとつには、沖縄県ではサンゴの採取許可の条件が厳しく、ベンチャー企業として取り組むにはハードルが高いのに対し、宮崎県ではそれが可能であったとのこと。

また、黒潮が流れ込む宮崎の海はきれいで暖かく、テーブルサンゴを主体としたサンゴが既に生育していることに加え、地球温暖化の影響で、以前は沖縄など南の海に生息していたサンゴの生息域も少しずつ北上していて、未来のためのサンゴを育てる環境として最適なのだとか。

加えて、海のすぐ近くに、使われていないプールがあり、井戸を掘れば海水も確保できそうな環境があったことや、自然体験活動に取り組む「潮の杜」の代表・小椋祥司さんと意気投合したこと、そして、こうした若者達のチャレンジを受け入れ、応援しようとする土壌が日南市にあったことも、大きく後押ししたようです。

こうした話をキラキラした眼で熱意をもって語る4人、誰しも応援したくなるのがよくわかります。

 

クラウドファンディングにも挑戦中

クラウドファンディング画像

Green Fingersの4人の取り組みはまだ緒に就いたばかり。
まずは、これから海水採取用の井戸を掘り、掃除を終えたプールをサンゴの養殖用に改装していかなければなりません。
そのために、クラウドファンディングのFAAVO宮崎で当面必要な資金を集めるためのプロジェクトにも挑戦中です。

宮崎で「想いの根付いたサンゴ」を育てて、未来の海を守りたい!

目標額は150万円で、期限は5月15日まで。
All in方式なので、目標に達しなくてもプロジェクトは成立ですが、未来の美しい海のために若者達が身銭を切っているのですから、どうせなら目標額は達成させてあげたいと思い、微力ではありますが私も支援しました。

支援する、しないに関わらず、岸さんを初めGreen Fingersのメンバー達の思いや活動の様子がよくわかりますので、是非一度、上記のプロジェクトのページをご覧ください。

実際にサンゴの植え付けができるようになったら、私もスキューバ再開しようかな。

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この記事を書いた人

2014年4月からテゲツー!ライターに参加。
趣味は料理で、2016年からフードアナリスト、2018年からは冷や汁エバンジェリストとしても活動中。
2020年4月に宮崎での7年間の単身赴任生活を終え、2022年3月まで東京・新宿にある宮崎県のアンテナショップを統括した後、さいころ株式会社を設立、同社代表取締役。
テゲツー!のアドバイザーで後見人的な人で、玄人受けするその記事にはファンも多い。

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