【開店】宮崎焼酎の伝道師が紡ぐ炭火焼とお出汁の店-國酒 松(こくしゅ まつ)/宮崎市


カップと照明

最近、若草通り周辺のお店を探求しているさこっちです。
今回は、本日(6月4日)、宮崎山形屋の裏通り、通称「ウラタチ」にオープンした「國酒 松」をご紹介します。

このお店は、以前人情横丁にあった立ち飲み焼酎バー「角打ち しなと」の店長・小松山龍辰さん(28歳)が経営する國酒バー。
「角打ち しなと」と言えば、以前テゲツー!でも取り上げた、人情横丁随一の大人気店。平日でも満席でお店に入れない経験された方も多いのでは。
そんな店を任せられていた小松山さんが、しなとでの2年間の経験を経て独立し、新規開業したお店が「國酒 松」なのです。

 

宮崎のクリエイティブが集結! 洗練された空間

國酒松看板ロゴ

それでは、早速お店の中を見てみましょう。
ウラタチの名店、「そばや哲心」の真向かいのビルの2階に「國酒 松」はあります。
扉を開けるとまず目に飛び込んでくるのが、この照らされたロゴ。このロゴはなんと陶製で、漆の仕上げを施しており、店名にもある「松」をイメージしたものだそう。

入口へと続く石畳の廊下

そして、通り庭を進むと見えてくるこの洗練された空間。左の障子を開けた先が客席になります。既に期待感が膨らみますね。

L字型のカウンター

障子を開けた先の店内には、L字のカウンターがあり、客席はカウンターに沿って配置された9席のみ。贅沢に空間を使っています。

幅広のカウンターには素材としてモルタルが使われていて、ピンポイントの照明がさらにシックで落ち着いた雰囲気を醸し出しています。

実は障子にも隠された意味があるのですが、それは来店してからのお楽しみ。

カウンター奥に佇む店主

カウンター奥が調理スペースですが、焼き場には銅板が使用されていました。

内装には県内のクリエイターが集結し、店主自ら工事にも携わったそうですが、その際のテーマは、「『不確実性』=変化を受け入れられるお店」とのこと。

カウンターに使われたモルタルや焼き場に使われた銅板は、年が経つにつれ色に変化が出てきます。
また焼酎や日本酒は、同じ原料で仕込んでも年によって味が微妙に変化し、同じ味を完全に再現することは難しいと言われています。
そういった不確実性を受け入れつつ、お客さんに良いサービスを提供していきたいという想いを、この内装に込めたそうです。
さらに銅板は、熱や電気など伝導する力が非常に高い素材。小松山さんは自らを「焼酎の魅力を伝える役割を担う者」として、「伝える」という共通点のある銅を素材としてセレクトしたとのこと。

もう一つ、さこっちが紹介したいのは、座席に使われている「カリモク60」のイスです。
お酒や料理をゆっくりと楽しんでほしいと選ばれたこのイスは、落ち着いてしっかり座ることができます。個人的にはこのイスに座るために通いたいくらい。
写真はあえて載せませんが、皆さんぜひその座り心地を体感してくださいね。

 

まずは一杯の出汁から

出汁を注ぐ

「國酒 松」は、炭火焼とお出汁のお店。
毎日の仕込みでは、その日入った魚や野菜で出汁を引いています。

着席するとまず、その出汁を注いだ椀が、付き出しとして供されます。
小松山さんは、
「少し身体を暖めて、一旦落ち着いてからお酒と向き合ってみませんか、という提案をしたい。」
と話します。

摺り下ろした柚子の皮を浮かべる

取材した日は、金目鯛と焼き葱から取った出汁ということでしたが、魚の旨味と焼き葱の甘みと香ばしさが調和し、優しい中にもしっかりとコクがあり、仕上げに散らされた柚子の香りが一段と華を添えていました。

「とりあえず生!」も良いけれど、このこだわりのある空間と雰囲気に身を任せつつ、出汁で一度リセットして、お酒や料理を楽しんでみるのも良いですね。

 

焼酎の面白さに開眼

尾鈴山 山ねこ

出汁をいただいたら、早速注文です。
まず最初にいただいた焼酎は、「尾鈴山 山ねこ」(尾鈴山蒸留所/木城町)の炭酸割り。
この焼酎は、ジョイホワイトという芋を使用していて、まるでライチのようなフルーティーで華やかな香りがします。
店主オススメの飲み方は、ロック、水割り、炭酸割りなど。ぜひ、キリっと冷やして飲んでほしいとのこと。
本当にふんわりと爽やかな香りで、炭酸割りなのでスッキリした味わいでした。最初の一杯には丁度良いですね。

朗らかに潤す

2杯目は、「朗らかに潤す」(渡邊酒造場/宮崎市田野)という、むらさき娘という芋を原料とした焼酎。
「朗らかに潤す」シリーズは、毎年お客さんからの投票制で原料となる芋を決定する面白い取り組みもしています。
むらさき芋系は、ジアセチルという少し乳酸発酵系の香りがする成分が含まれていますが、むらさき娘は炭酸で割るとイチゴのようなベリー系の酸味や香りも出て来るのだそうです。
飲み方によって、キリっと冷やせば酸味がほんのりと感じられ、逆に暖めればしっかりとした芋の香りが楽しめるとのことで、炭酸割りで飲んでいただいてみました。
本当に芋が原料かと思うほど香り高くて美味しく、爽やかな印象。

実は私、元々焼酎自体、芋の香りが苦手でずっと飲めなかったんです。
それが、小松山さんが以前店長をされていた「角打ち しなと」で、焼酎の奥深さ、蔵元の想い、そして炭酸割りの飲み方を教えてもらって、いまや焼酎大好き人間になってしまいました。
焼酎にまだ馴染みのない若い人には、それぞれの焼酎の美味しい飲み方をぜひ知ってほしいですね。
苦手な人は、炭酸割りから始めるのも良いかと思います。

 

口福感あふれる料理の数々

甘長ししとう

焼酎だけでなく、自慢の料理もしっかりいただきましたよ。
この日の取材は友人と一緒だったので、いろいろな焼酎や料理を注文することができました。決してさこっち1人で注文したわけではないですからねw。

まず、注文したのは、「甘長ししとう」
個人的に大好きなししとうは、炭火で焼いて鰹節を添えて、シンプルながらとても美味しく、一品目には丁度いいメニュー。
食感もGOOD!でお酒も進みます。

海苔と山葵とモッツァレラ

次の「海苔と山葵とモッツァレラ」は、添えられただししょうゆをかけていただきます。
海苔とモッツァレラチーズだけでももちろん美味しいですが、アクセントの山葵が食欲をそそります。
さらに、揚げた蕎麦の実の食感も良いですね。
それぞれの味がしっかりしていて、適度な塩気でお酒が進む一品です。

都萬牛もも

3品目は「都萬牛もも」
都萬牛は、西都市で育てられている、美味しい赤身が特徴の黒毛和牛。余分なサシが入っておらず、ヘルシーで非常に食べやすいです。
こちらは、焼き目がしっかり入った方は塩がオススメ、そしてレア気味の方は、自家製の醤油麹がオススメとのこと。
たしかに、塩でも醤油麹でも、肉の旨味がしっかりと感じられました。シンプルな味付けで素材の良さが際立ちます。口福感がハンパない。

佐土原ナス

4品目は、「佐土原ナスの揚げ出し」
佐土原ナスは、熱を入れるとふわとろとした食感が特徴で、県外にも人気のある宮崎のブランドナスです。
上品なお出汁と薬味を効かせたこちらの一品は、何杯でもいけそうなくらい美味しいです。

後ろに見える「栃栗毛」(柳田酒造/都城)は、麦焼酎を15年間樫樽貯蔵したもの。
まるでウイスキーのような香りと深みのある味わいで、何も割らずに飲むと、軽め料理にもメイン的な料理にも合いそうです。

金目鯛~出汁醤油で~

続いての「金目鯛~出汁醤油で~」は、直前に表面の皮をさっと炙っていて、なんともいえない香りが食欲をそそり、添えられた白髪葱が良いアクセントに。
ふっくらと焼きあげられたその身は、そのままいただくか、ほんの少し塩を付けてもすごく美味しく、思わず笑みがこぼれます。もはや説明の要らない、完成された美味しさです。

後ろに見える「甕封じ」(松露酒造/串間市)は、特別蒸留原酒を25度まで加水して、黒伊賀一升甕という多治見焼きの甕に入れた芋焼酎。
容器の口が広くて長期保存に向かないため、フレッシュな状態で楽しむための焼酎ですが、強めの味付けにも負けない芋感の強い味わいで、肉や魚系の料理に合いそう。

餡かけ茶碗蒸し

最後の料理は、「餡かけ茶碗蒸し」
一瞬、デザートかと思うくらいのビジュアルですが、出汁の効いたトロンとした餡がこれまた美味しい。
実はこの茶碗蒸し、最初の付き出しの出汁を取る際に使われた金目鯛のほぐし身が入っていて、最初と最後の料理が線で繋がっていました。さすが、お出汁をメインにもってくるだけありますね。
お腹にも優しいので、最後に注文するのが良いと思います。出来たばかりの茶碗蒸しをフーフーしながら食べるときって幸せになりません!?

これまで紹介した品はごくごく一部ですので、ぜひお店でお気に入りを見つけてくださいね!

 

店名に込められた想い

松露

ところで、「國酒バー」ってあまり聞き慣れない言葉ですよね。
「國酒」とは、焼酎や日本酒を日本を代表する酒として、さまざまな機会を通じて知ってもらおうとする国家戦略「ENJOY JAPANESE KOKUSHU(國酒を楽しもう)」プロジェクトから来ています。
こちらのお店では、宮崎の焼酎(60~70種類)をメインに、日本酒(10種類)、日本ワイン(4種類)、国産ウイスキー(3種類)のラインナップを揃えているとのこと。
それにしても、宮崎の焼酎だけで60~70種類ってすごい!
2017年度の成人一人当たり1ヶ月の焼酎消費量は、鹿児島県についで宮崎が2位!そしてなんと、近年の焼酎出荷量では宮崎が5年連続日本一なんです。まさに、宮崎は焼酎王国ですね。

それでは、店名の「松」とはどういう意味なのでしょうか?
次の3つの意味を教えていただきました(本当はもっとあるらしい…)。

  1. 「お客さんが来られるのを待つ」というスタンス、来てくださるお客さんを良いサービスでしっかりと迎えられるお店を作りたい。
  2. 松は常緑樹。冬でも枯れずに一年を通して凛々しく緑を保っている。飲食店はコロナの影響もあり冬の時代といわれている。そんな中でも気持ちを崩さず、凛としてしっかりしたお店でありたい。
  3. 小松山という名前から。

また、「國酒 松」の目指すものを伺ったところ、

  • 宮崎で焼酎飲むならあの店!とか、宮崎に来たときにここを目指してやってくるお店になりたい。
  • この店で一人一人に「焼酎と向き合う時間」を作りたい。

とのこと。

まさに、県内外からの目的地の一つになってほしい!そして、初めて焼酎を飲むぞ!という方は、ぜひオススメの飲み方を教わってほしいと思います。

 

焼酎と向き合い、新たなステージへ

小松山龍辰さん

お店で耳を澄ますと、宮崎市出身のピアニスト横山起朗さんが作曲・演奏されているピアノのBGMを通底に、時折響くパチパチという炭焼きの音、そしてグラスに氷をいれるカランという音が聞こえてきます。
その全てが本当に心地よく、さらに、店主の小松山さんから宮崎の蔵元が焼酎を作り上げるまでのストーリーを聞き、オススメの飲み方で料理とともに味わう。まさに極上の時間でした。

小松山さんには今後も、お客さんと蔵元・焼酎を繋ぐ橋渡し役として、そして焼酎王国の牽引役としてのご活躍を期待しています!

 
【國酒 松】
場  所:宮崎市橘通東3丁目4-9 第一ワタナベビル2F → マップ
営業時間:15:00~23:00(L.O. 22:00)
定 休 日:日曜日
電話番号:0985-23-9392
座席数:9席(事前に空き状況など尋ねた方がベターです。)
MAPCODE 66 291 453*56

 

さこっちプロフィール寄稿者:さこっち

宮崎の音楽・食・人が大好き。
ピーマン、キュウリ、タマネギなど、宮崎特産の野菜が苦手という斜め上をいくライター。
現在は、宮崎の魅力を発信し、他県から移住してもらえるよう取り組んでいる。


投稿者 宮崎てげてげ通信ライター(寄稿)

県内各地に散らばる寄稿者用の統一アカウントです。 宮崎県内の地元の人だからこそ知っているおすすめの「グルメ」「観光」情報を軸に、地域の安全安心につながる情報の提供にも取り組んでいきます。